みさき動物病院

治療紹介

がんについて

現在、ペットの寿命が延びたことで、がんは特別な病気ではなくなり、死因の原因の上位を占めるようになりました。しかし、がんは不治の病ではありません。治るがんもあります。確かに治療が難しく、全てのがんが完治するわけではありませんが、適切な治療を行い、飼い主さんが正しい知識を持つことで、ペットの「QOL」(生活の質)を高めることができます。

 なぜがんになるのか

がんは、正常な細胞が自己制御を失い、異常に細胞が増殖していくことで起こります。正常なら自己制御を失った細胞は、免疫システムによって排除されますが、何らかの理由で免疫システムが正常に機能せず、異常な細胞が増殖したものの塊が、がんりなります。

 がんの治療法

今までの、がんの三大治療法は「外科手術」「放射線治療」「化学療法(抗がん剤)」でした。しかし、これらの治療法だけでは再発や転移を予防できなかったり、処置後に良好なQOLを得られないケースもあります。また、がんになる動物は高齢の場合が多く、麻酔や薬剤のリスクや副作用が不安要素となり、積極的ながん治療をすすめることができない場合もあります。そこで、当院では、外科的に切除しきれないがんや、再発、転移の予防に、動物の負担が少ない第4の治療法として、「光線力学温熱療法」と「免疫細胞療法」を取り入れています。


 光線力学温熱療法とは

光線力学温熱療法とは、がん細胞が熱に弱いことを利用した治療法で、他の治療と併用してできること、副作用がほとんどないことが、この治療の大きなメリットです。

 治療の流れ

1)がんに光増感剤を注入します。正常な組織からは光増感剤は排出されますが、腫瘍組織からは排出されにくく、その場にとどまります。


2)光照射(レーザーを当てる)により、光増感剤が活性酸素(細胞を錆びつかせるようなもの)を誘導し、正常細胞をできるだけ傷つけず、腫瘍組織をやっつけます。

 免疫細胞療法とは

動物の体には、病気や怪我を自分で治そうとする免疫力(自然治癒力)が備わっており、この免疫が体内にできたがん細胞や、体の中に侵入した細菌やウィルスを攻撃します。免疫担当細胞が、リンパ球(T細胞、B細胞)、好中球、マクロファージなどです。免疫細胞療法とは、がんを攻撃するとされるリンパ球T細胞を活性化し、培養して体内に戻すという、生まれつき備わっている免疫力を利用する治療法です。もともと自分の体の細胞なので、副作用はほとんど見られません。

 治療の流れ

1)約8~12ccの血液を採取します。


2)当院内の培養施設で、白血球の層を取り出します。


3)リンパ球が増えやすい培地に入れ、2週間かけてリンパ球だけを培養します。。


4)増えたリンパ球を回収します。


5)点滴で体内に戻します。